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子持ち様に憤るのは母親のミソジニーを知っているから

幼い子どもを持つ親を「子持ち様」や「子連れ様」として批判する声が、SNS上で広がっている。子持ちであることを理由にした振る舞いが非常識だったり、周囲にかける迷惑に無配慮な態度への不満が噴出しているのだ。

女同士の対立を煽るように「VS独身女性」の前提でメディアは取り上げているが、ネットで炎上に参加しているアカウントは男性が多い印象を受ける。

 

とはいえ「子持ち様」や「子連れ様」被害者の大半が女性なのは事実だ。それは女性に仕事を補填させる会社が多かったり、接客業で子連れ対応をさせられるのは女性が多い等、制度の問題は様々なところで指摘されている。

 

しかしメディアを見ていると「独身女性のミソジニー」は認識しているのに、「母親の女性蔑視」は指摘していない、もしくは気付いていないように思う。

 

近年、女性向け商品のメイン市場は御一人様か女子会だろう。

しかし平成辺りまでは「女性の意見=母としての意見」だった。

つまり女性の代表は母親であり、ミソジニーは母親嫌いという認識は根深い。

 

しかし、母親というのは基本的に女性蔑視的である。

数十年かけて多様に広がった世界が急に狭まり、順序立てて成長していく子どもとセットになる。何歳ならこう、この場所ならこう、この状況ならこう、と細かく定められる。

 

子ども時代は人生で最も差がない。大人になればなんてことはない違いでさえ大騒ぎになる。

その中で圧倒的に大きいのは「男か女か」だ。「息子を産んだ母親」は偉い、凄いというのはまだまだ残っている。

友達のような母と娘はブームだが、娘が母親と仲良くなる保証はない。一方息子は産んだだけで「よくやった」扱いである。母親の自己肯定感を爆上げするからこそ「男の子は全然違う」と言いたがる息子持ちは多い。

そもそも男性の子孫を、多くの時間体力を費やし命懸けで産む。男性を女性より上と認識していなければ、耐えられない現実はあるだろう。

 

もちろんそうでない母親も、そうならないように意識する母親も多い。しかし「子持ち様」「子連れ様」というのは、女性蔑視的な母親の傾向に思う。

「子持ち様」「子連れ様」は、何の理由も無い身勝手は言えない人である。子どもという盾があるから、我慢を止めて好き勝手行動するようになる。より子どもが盾として通用しそうな相手を選んでいるから、負担が偏る。

 

職場で迷惑をかけるのは、父親の育児不参加や非協力的な場合が多い。つまり「夫に育児を頼むより、同僚に仕事を頼む方が気軽」だからだ。そういう母親にとって「気軽に仕事を押し付ける相手」は女性になりやすい。

また男性の協力や配慮にはオーバー過ぎるほどに感謝し、女性の協力は当たり前という態度をとる。むしろ足りないとか冷たいとか文句を言ったりもする。

こういった「子連れ様」は職場だけではなく、出先でただ近くにいた女性にも被害を与えるのだ。

 

男性や上司には良い顔をするため、実際に負担が増えている女性の意見は封殺されてきた。

特に一昔前は「女性とは母親」だったのだから。

じゃあ自分の意見とは何目線なのだろう?と苦しんだ女性も多かっただろう。

 

近年のハラスメント意識により、大っぴらに女性蔑視的なことを言う人は少なくなった。それはとても良いことである。

しかしいざ迷惑をかけるとなると、女性を選んでしまう。女性なら許してくれると勝手に期待し、そうでないと裏切られた気持ちになる。

そんな無意識のミソジニーを、男女問わず自覚する段階なのではないか。