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朝美絢『愛の不時着』大成功!御曹司の壁を打ち破れるか

「運命」なんて、どうでもいい相手だからいえるもの。

宝塚に対する観客の本音を投影したようなヒロインに対し、真っ直ぐ「運命」といえる唯一無二の主人公が雪組公演『愛の不時着』にあった。

 

無骨なのに口説き文句はスラスラ出てくるリ・ジョンヒョク、意地悪く軽口をたたいたかと思えば純粋な表現をみせるク・スンジュン。今や宝塚歌劇でもなかなか御目にかかれない、理想の男役が説得力のある人物像で表現されていた。

 

昔の韓流ブーム時は、日本人にとってノスタルジー的需要があったと思う。その要素は残しながらも、韓国にとってノスタルジー的な世界である北朝鮮。

普通に日常を過ごしている人々がいることさえ忘れかけていたが、どこか懐かしい場所として鮮やかに描かれていた。

 

他国にとって北朝鮮はなんとなく禁句にしている、知ってるようで知らない国。それなりにセンシティブなテーマだと思う。

それが普通に存在している1国、いやまるで朝鮮統一後に後世に伝えるため作ったようであった。

 

国際社会に訴えたい思惑もあるだろう。

しかしそれを日本、それも女性だけの劇団に許可するのは意外だった。

 

旧統一教会本部のある韓国で、安倍元首相銃撃事件をふざけたコントにした「記憶にございません!」をやったなら。大炎上ではすまない。

国内だからといって星組公演が許されたのも疑問だが、国際問題になる。

 

『愛の不時着』は不謹慎さの無いきちんとした物語というのが大きいにしても。韓国エンタメ界は意外と、政治的思惑から自由になってきているのかもしれない。

夢白あやと華純沙那は、よく聞く「韓国人が好きな顔」そのものに思う。しかし疑惑でさえも徹底的に叩かれ追放されるほど、韓国芸能界はいじめに厳しいはず。

宝塚化を受け入れたというのは宙組生の転落死に関しても、軍隊的なパワハラはともかく「いじめはない」と保証したようなものだ。

 

お披露目の新トップスター朝美絢と雪組に異動が決まった瀬央ゆりあは、スムーズに出世してきたとは言い難い。

特に朝美絢は永久輝せあや暁千星といった下級生と同等~下のような扱いが多かった。

 

しかしここにきて永久輝せあは売上が振るわず、暁千星は全国ツアーも回っていない。

日本武道館コンサート『ANTHEM-アンセム-』の好調さは、星組人気が「礼真琴1人の歌」で成り立っていることを明白にした。

準備不足なままトップスターに就任し、売上が低迷するのは目に見えている。

 

コロナ禍や転落死事件により「宝塚歌劇団が無くなるのでは」と不安を煽られる状況が長年続いた。

純粋に見たいから売れるというより、ともかく支えたい。宝塚や贔屓を守りたい、という推し活的需要でチケットを捌いていた。

 

そんな夢を壊された宝塚で「礼真琴1人の歌」だけは純粋な支持といえる。

どんなに内部が殺伐、ギスギスしていても。

どんな席でどんな演目でも「あの歌が聞けるのならチケットを買う」という信頼があった。

 

特殊な状況において、必要なことだったとは思う。

しかし『愛の不時着』にはコロナ前に戻ったような、割り切ったビジネスではなく心から夢を見れる感覚があった。

やっと本当の意味で、宝塚の復活を感じたのだ。

 

コロナと事件で思うように消費出来なかった分と、役付きでいまいち通う気にならなかった分。Wのリベンジ消費がある朝美絢の雪組は、来年以降最も売れる組となるだろう。

御曹司トップスターより売れる叩き上げトップスター。宝塚はいい加減、スターの扱いも慣習を脱却する必要に迫られる。

宙組行きか路線落ち?大規模組替え発表

宙組生の転落死事件から、何も学んでいない組替えが発表された。

 

・再決定したきよら羽龍

宙組のイメージが最悪な今、生え抜きコンビを続けるのも、さらに宙組にスターを呼ぶのも厳しい。春乃さくらとビジュアルの系統も重なる上に小柄という最適さからしても、次期トップ娘役が期待される。逆にこのまま2番手格になれば、中止となったトレードのイメージもあり第2の天彩峰里といわれるだろう。

しかし他組替えからは事件の軽視、もっと言えば存在を否定するスタンスさえ感じるので不安は残る。

 

 

・新2番手だろう水美舞斗

花組でも2番手ではあったため出世とはいえない。ただ桜木みなと『カルト・ワイン』の再演をまず果たすために、落下傘ではなく後にした可能性はある。トップスターへの希望はあるものの、宙組以外が良かったのが本音だ。

また花組出身で芹香斗亜との共演歴も多く、ディナーショーにも出演が決まっている。芹香斗亜のイメージ改善や退団後も宙組に行きやすくなる配慮は感じる。

 

 

・故人の同期である103期の二葉ゆゆ

故人と予科本科かつ遺族の同期である102期の舞空瞳と天飛華音は、転落死直後の主演公演を強行開幕した。

 

他組で中止なんて出来ない状況にされたが、花組の美風舞良組長は公演中止を訴え、パニックになって泣き崩れるほどだったらしい。

散々叩かれた現宙組組長松風輝の今後はまだ不明だが、サロンコンサートもあるので新組長就任の準備は進められると思われる。

「花組103期のX」が上級生と飲み会をしている演出家に、不謹慎だと抗議。すると上級生がXを罵倒したことも合わせて、週刊文春にリークされた。

 

「花組103期のX」と匿名の人物を登場させたのは、情報提供者を守らない文春らしい書き方だ。

Xからのリーク記事であり、この組替えでX=二葉ゆゆとされるだろう。

 

『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~』のパワハラを中心とした星組のリークは、次期トップスターほぼ確定である暁千星への妨害が強かった。

見せしめ的に宙組にいかせるなら、星組リーク犯だと思っていたので意外だ。

 

 

・パワハラ問題の鍵を握る愛すみれ、叶ゆうり

故人の妹としてコメントを出した遺族の102期は元雪組生。

他コメントも含め遺族は執拗に「宙組のせい」だとしてきた。そして文春を中心に週刊誌は、雪組は良い人達といった内容が多かった。

しかし雪組上級生が宙組上級生に溶け込み「宙組は良い組」と発信することで、遺族の主張は否定されるのだ。

 

 

・宙組から脱出する瑠風輝

宙組から星組へは七海ひろきや愛月ひかるが組替えし、番手付きで退団している。頻発した上級生2番手からとうとう鳳月杏が就任したように、いい加減トップスターを生んだ方がいい気もする。

しかし多くの新人公演や逆転裁判シリーズ主演という華々しい抜擢の瑠風輝でも、星組で同期の暁千星の下につくとなるとほぼ路線落ちイメージとなるだろう。

もちろん95期をみていると諦めるのは早いが、この状況で宙組から出るというのも厳しくさせる。他組ファンは遠巻き、宙組ファンは裏切り者扱いの想像しか出来ない。

 

 

・同じく同期の下につく極美慎

宝塚GRAPH1月号の表紙も飾り、聖乃あすかとセット売りが期待される。

元々遅咲きそうだったので希望はみえるが、3番手スライドとは微妙。宝塚歌劇団の全盛期だった明日海りお時代と比べ、御披露目からコケた永久輝せあの元にいる旨味も少ない。

また大阪・関西万博のアンバサダーだったはずが、任期が終える前に組替え。

ショックな要素が多い発表である。

 

音楽学校の絆は大好きだけれど、配属組で着実に上っていたのに同期の下にされる組替えは悲痛だ。同期のために格下げ、もっといえば路線落ちさせられたように見える。

ファンも心から祝福できる相手だからこそ有効な売出しなのだ。生え抜き同士でもギリギリかもしれない。

男役と娘役がベスト。トップ娘役と次期~トップ確定男役を同期や予科本科にするのは、本当に上手くできている。

 

 

・一応出世の瀬央ゆりあ

礼真琴退団後は最も人気になるであろう、朝美絢の雪組で正式に2番手は美味しい。

ただこの期に及んでまた同期のトップスターを支えるのは、宙組と合わせてもやり過ぎに感じる。また生え抜き同士の時と比べ、ファンもそれほど温かく見れない落差がある。

 

 

ここまで誰もめでたくない大規模組替えも珍しい。遺族や故人の行動に思うところも多いが、改善ではなく宙組事件の否定に全力を注いでいるのもどうかと思う。

こんなことをしても、世間をあれほど騒がせた事実は消えない。

タカラジェンヌの心身の健康を守る気もなく、劇団やファンと一般社会の隔たりをより深めるだけである。

宙組に組替えする条件

102期の舞空瞳と天飛華音が故人と予科本科かつ遺族の同期なのに、転落死直後の主演公演を強行開幕した。そのせいで他組が中止なんて許されない状況となった。

 

ただ話し合いはしていたらしい。花組の美風舞良組長は公演中止派で、パニックになって泣き崩れるほどだったと週刊文春が報じている。

その花組で『美風舞良 サロンコンサート』が発表された。

 

宙組公演『宝塚110年の恋のうた』『Razzle Dazzle』の退団者が少ないのは、組替え希望を聞き入れているからかもしれない。

宙組生の転落死事件について、遺族との合意書で「被災者が組替えを求めたことに対しこれを無視したこと」をパワハラとした。つまり組替えを希望した場合、聞き入れなければいけない状況となっている。

 

とはいえただでさえ少ない宙組から他組へ出すとなると、他組からはかなり多くの組替えが必要となる。長く残ってくれそうとなるとそれなりに下級生が欲しいのが本音だろう。

不謹慎を訴えた故人の同期である花組103期。本人が週刊文春にリークしたとすれば、花組にいられなくなり移動する可能性はある。

 

しかし故人の同期と予科本科である102期~104期が宙組に組替えされても、客としては正直見ていられない。

むしろ亜音有星は一刻も早く、蒼舞咲歩のいる星組辺りへ移動した方が安心して見れる。

 

またもう、寝耳に水の組替えは出来ない。宙組に行くことも、ちゃんと了承が必要だ。

前述の通り宙組に思い入れがあり、二つ返事で組替えを受け入れそうな美風舞良でさえ、サロンコンサートを条件に受け入れた可能性がある。

 

合意書を公開したことで組替え=本人の希望や了承と見られてしまうのだ。

宙組を出れば自分勝手な裏切り者、宙組に行くなら「何を引き換えに?」と抜擢されても後ろ暗いものを感じてしまう。

 

スポンサー事情なら勘繰られずに済むが、トップ以外の動けそうなイメージキャラクターといえばIwatani等の暁千星とヒガシマル醤油の詩ちづるだ。

ヘアアイロン事件など宙組叩きが始まった頃のトップスター真風涼帆とトップ娘役潤花の後任なので、宙組に組替えはないと思われる。

 

次期宙組トップスターはまだ発表されていない。スポンサー含め暁千星が受け入れるとも思えないので、95期2番手かとは思うが。

芹香斗亜ディナーショー『The Royal Banquet』に出演の決まった水美舞斗の宙組行きに現実味は出てきた。

 

ディナーショー自体は礼真琴もやるなら過重労働を考慮し、専科の同期を呼ぶ可能性が高い。発表時は騒がれるほど意味があるとは思わなかった。

しかし新組長含め多数を花組からの組替えで補填するなら、花組出身の水美舞斗は了承するかもしれない。

もちろん桜木みなとが移動する可能性もあるが合意書がある以上、組替えすれば「宙組を見捨てた」感が出てしまう。

隠蔽体質はよくないが、秘める美学はやはり必要であった。

斎藤知事が芹香斗亜を返り咲かせるべき理由

宝塚はこの5年間、悪夢の世界となっていた。

コロナ禍では公演をすればメディアで叩かれ、中止が当たり前の不安定な状態が続いた。

やっと終わると思いきや、地獄の底には更に深い地獄。

 

週刊誌で宝塚関係のパワハラリークが連発し、宙組生の転落死からは日本中から批判を浴びた。

観たことも無い層からは「頭のおかしい集団」とファン含め叩き放題。

長年の宝塚ファンからも「100周年までは良かったけどだんだんおかしくなっていった」と切り離された。

 

そんな時に斎藤元彦氏が兵庫県知事選で返り咲き。再選の理由を探る記事やニュースが連日流れているが、宝塚歌劇団の存在に焦点を当てているものは見ない。しかし兵庫県民がメディアに嫌悪感を抱くきっかけにはなっていたはずだ。

 

告発者が自殺とされることが「パワハラは真実」の根拠にされた流れは重なる。

遺族の言動に不信な点も多いが、全く精査されず一方的に悪者にされた宙組生。まともに大劇場公演を行えないまま退団を発表した、芹香斗亜は兵庫県神戸市出身である。

 

星組公演『記憶にございません!』-トップ・シークレット-の低支持率総理大臣は、全会一致で不信任決議案を可決された斎藤知事と重なる。

しかも額に怪我をして死にかけても「良くなったなら加害者に感謝すべき」とタカラジェンヌのあるべき姿を示している。加害者肯定演目だ。

 

また雪組公演『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-にて数十年ぶりに出したジャンヌは、火傷写真をマスコミに流した行為の宝塚化である。

 

宝塚GRAPHで「火傷を負った件を想起させるものであり、かつかかる事実を茶化している」と謝罪したばかりなのに、喪中公演である一周忌前に故人や遺族への揶揄する描写は不謹慎すぎる。

唯一の110周年イベントとなった宝塚クリエイティブアーツによる「TO THE NEXT TAKARAZUKA DREAM MARCHÉ」も、喪中~命日に被る日程にされた。

 

102期の舞空瞳と天飛華音は故人と予科本科かつ遺族の同期。なのに転落死直後に他組が公演を中断中止する中で一切中止させず、事件を揶揄する発言もみられる。

そして「厄介者を省いた」同期アピールは白々しいほど熱心にしていた。

いじめ犯あるある「ハブった後のグループで仲良しアピール」だ。

 

このように遺族や故人、そして煽った週刊誌を中心としたメディアに嫌みを連発。

宝塚寄りにいえば怒りを露にはしていた。兵庫県民にとって宝塚は馴染み深く、経済効果も絶大だ。全国区の報道やSNSばかり注目されるが、有権者は兵庫県民しかいない。

 

斎藤知事が返り咲いたことで「定義が曖昧なパワハラ」を糾弾する違和感も強まってきた。この流れこそが、支持者の望みではないか?

芹香斗亜だって退団後の予定は色々入るだろう。中止となった天彩峰里の組替えも、やっぱり行われるかもしれない。

月組『GUYS AND DOLLS』で前回は礼真琴、新人公演は真彩希帆、外部は望海風斗という今最も歌唱力を求められるアデレイド役が必要と分かった。同期の風間柚乃が相手役となり、予科本科の天紫珠李と歌うシーンもある。月組らしさを発揮しつつ、役のわりに扱いが悪くても文句が出ない。最適な人選だった。

 

斎藤元彦兵庫県知事は新たに公職選挙法違反疑惑が浮上し、諸刃の剣ではあるものの。宝塚票に感謝し、目をかけてもらいたい。

天彩峰里は宙組に残るべきか星組に行くべきか

天彩峰里は舞空瞳と瓜二つ。

宝塚の顔はほぼ化粧なので似てるとは「表情+骨格」だ。

表情がそっくりで、舞台でみると混乱する。

表情が同じなので押し出される性格、キャラやファンの傾向も重なっている。

 

ヘアアイロン記事で宙組ファンに批判され、月組に移動予定だった時も星組にすべきだとは思っていた。

舞空瞳がいると紛らわしいが退団なら、顔が被るのはむしろ都合がいい。

 

しかし転落死事件が起こり、そんなこといってられない状態となった。(そもそも天彩峰里を舞空瞳と入れ替えていれば事件も無く、110周年もちゃんと行えたのだが)

 

同期や予科本科の絆を信じたい身としては99期~101期、それも配属組なら受け入れてくれるという夢は見たい。とはいえ商業である。

『阿修羅城の瞳』『エスペラント!』はコロナ禍以降最高倍率の大劇場公演となる。しかし礼真琴の退団後は集客が厳しくなるだろう星組が、更に悪化させる人物を入れるとは思えなかった。

『Razzle Dazzle』解説文ではトップ娘役の春乃さくらよりも深く書かれ、芹香斗亜だけでなくキキじゅりの退団公演を匂わせていた。

 

ところが発表された退団者に天彩峰里は無い。

ただこれは宙組に居続けるのは厳しい一方で、宙組で退団セレモニーをやるのも厳しい現れに感じた。

 

不謹慎で悪趣味なことに変わりはないが『記憶にございません!』で「ヘアアイロン事件を笑い飛ばす」のも、天彩峰里が戻ってくる土台作りにはなっている。やっぱり星組に戻るしかないように思う。

 

 

問題はトップスターとなる男役とそのファン。

礼真琴がトップスターなら配属時から見てきた下級生だし、文春砲のきっかけとなった負い目もあるので文句無かった。

天彩峰里が出るなら観ないという層がいても、集客に不安はない。

 

しかし他のトップスター候補に、集客が悪くなってでも天彩峰里を背負う男役は思い付かない。そんな義理も無いだろう。

表面上受け入れていても内情は違うと、度重なるパワハラリークで散々実感させられている。

 

天彩峰里を救えるのは礼真琴だけだ。

それなのに礼真琴は退団、ほとぼりがさめるまで天彩峰里は宙組か星組が請け負うのだろう。

なんとも煮え切らない結末となりそうである。

不謹慎コント『記憶にございません!』

「安倍元首相銃撃事件」前だった映画より、危うい内容に改悪された宝塚化。現実で失われた命をネタにする不謹慎演目として『ディミトリ』とワースト争いだ。

 

「記憶にございません!」が発表された時は、理事長の失態会見を前向きに捉えようというポジティブさに、宝塚内部の不謹慎っぷりは気になった。

一方で元総理大臣が応援演説中に襲撃され命を落としたのに、コメディとして舞台化するグロテスクさは考えなかった。

原作は最初から記憶喪失でなかった狂言説、襲撃自体が仕込み説もあったからである。

 

少年時代の作文で頭を打つのは「性格を変えるチャンス」としている以上、たまたま記憶を失ったご都合展開より「最初から全部嘘」の方がずっと説得力がある。

田中真紀子の「非常に孤独だし、厳しい仕事ですよ、一国の総理大臣というのは」という言葉を実感した。

 

仲間にも家族にも本心を見せない、もう本心なんてないのかもしれないと思わせる底知れない人間性。

周りも全て黒田総理に誘導されていたのではないか、という人の上に立つ者ならではの能力。

総理大臣らしさが詰まっていた。

 

しかし宝塚版は、その考察を否定する形である。

これでは田中真紀子が続けた言葉「なりたい、なってみたい、と。都知事選や地方の首長選挙じゃない。内閣総大臣が何かということが全くわかっていない」の通りである。せいぜい兵庫県知事だ。

 

また本当に記憶喪失になるほどの重傷なら、殺人未遂ということになる。

生まれ変われるチャンスをくれたと、感謝してしまうのも恐ろしい。

「死にかけても良い結果に繋がったなら感謝するべき」

つまり

「死のリスクがあるほどのパワハラや過重労働でも、それで良くなるなら感謝すべき」と宝塚での転落死事件の要因とされる加害を言い訳している。

額に怪我を負った写真をポスターまでしているのだから、匂わせというより直球で嫌みだ。

 

瑠璃花夏演じるアメリカ大統領は、銃の可能性も示唆していた。ドナルド・トランプ前大統領が演説中に銃撃され、血を流したばかりなのにここも配慮に欠けている。

 

設定もあって全体的に安っぽく、コメディというよりコント。

事実として元首相が襲撃され命を失い、宝塚内でも死人が出て不謹慎会見を連発している。それをカバーするのに前置きした、ギャグっぽいフィクション注意文。

「安倍晋三銃撃事件」「宝塚歌劇団転落死事件」を同時に揶揄する、最低最悪の演目だ。

 

あまりの醜悪さに、宝塚歌劇団自体を一旦リセットした方がいいとさえ思えた。

三谷幸喜は何故了承したのか。酷評の嵐『スオミの話をしよう』の宣伝になるなら何でもありなのか?

 

『Tiara Azul -Destino-(ティアラ・アスール ディスティーノ)』は定番の羅列で古臭く、無難に終わっている。作・演出の竹田悠一郎は日本武道館コンサート『ANTHEM-アンセム-』で斬新なのをやる前に「普通のも出来る」とアピールしたかったのだろう。

裏タイトル「竹田悠一郎の保身」だ。

 

頼みのダンスも気合いが入ってたのは次期トップスターの期待を背負う暁千星ぐらいで、礼真琴と舞空瞳は心ここにあらず。

 

日本武道館公演を控えた礼真琴からしたら、安全第一なのは当然であり批判はない。コンサートと退団公演というご褒美演目、星組の盛り上がりに向けての助走。

 

地味で物足りないぐらいが正しいのだろう。

しかし身体的な安全性だけでなく、コンプライアンスや内面的な安全性も配慮が欲しい。

花組『悪魔城ドラキュラ』でゲーム業界との雪解けを期待

『FINAL FANTASY XVI』が取り止めになったまま宙組トップスター芹香斗亜が退団することになり、後任がやるのか、このままお蔵入りか。スクウェア・エニックスとの動向が注目されていた。

 

そんな中で競合であるコナミのゲームを原作にした、花組公演『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~が発表された。

「悪魔城ドラキュラ」(海外名:Castlevania) は知名度話題性ではファイナルファンタジーに遠く及ばないが、花組の代表作『ポーの一族』のようで期待が高まる。宝塚ファン受けが良さそうだ。

 

「宙組生の転落死事件で宝塚歌劇団とSQUARE ENIXが揉めている」というのは、週刊文春などのメディアで大々的に取り上げられていた。

結果的にあんな形で取り止めにされたことで、宝塚のイメージは更に悪化した。そして事件の重大性も知らしめることになってしまった。

 

スクエニと完全決別し、同業他社に利益を与えることで報復するつもりなのか。

ゲーム業界で状況を見るワンクッションとしての『悪魔城ドラキュラ』であり、花組公演の結果次第ではFINAL FANTASYの再計画もあるのか。

期待と不安が入り交じる。

 

個人的には多く宝塚化してきた『逆転裁判』や『戦国BASARA』のカプコンが、宙組事件について沈黙しているようなのも気になる。

 

やはり『悪魔城ドラキュラ』はゲーム業界と和解の第1歩なのだろうか。

永久輝せあの花組だけでなく、宝塚歌劇団全体にとっての正念場となりそうだ。

脱私設ファンクラブの予感

パーソナルカレンダーの大量買取を条件に、チケット譲渡をする掲示をしたファンが炎上した。

批判は主にそのファンに対してだが、そんな買わせ方をする私設FCの問題も浮上している。

 

他にも宝塚ファンから会への不平不満は増えている。素人運営なため不備が多いのに、扱う金額が分不相応に大きいのだ。

今のところ大事になったのは脱税ぐらいだが、トラブルは多々聞く。

 

・チケット取次の可否(お断り)や席の理由が不透明

というのは公式的なFCでも多い。現行の宝塚友の会にあるランク制度だってかなり疑わしい。

 

しかし

・取次不可でも手数料的に取るお花代(サポート代)は返金されない

・チケット代返金時期が不明瞭で遅い

は企業なら許されない。

昔は完売が当たり前でなかったため、お花代(サポート代)だけ取られるという事態はほぼ無かったのだろう。

しかしチケ難公演が増えた上に、コロナや転落死事件で中止が連発された。

 

そういった場合の対応の悪さが、転落死事件をきっかけに週刊誌等で曝された。

それらを読んで「おかしいんだな」と目を醒ましたファンも多い。

 

さらに会に深く関わるファンは、奉仕活動の多さにも辟易しているようだ。

宝塚歌劇団の改革に向けた取組が進むことで、ファン活動にも安心感や透明性を求める声が高まっている。

 

そんな「私設FC」の象徴とされるのが、入り出待ちである。

ファンサービスを兼ねた、スターアピール。人数が少ないと恥なので、なんとかかき集める場合も多い。

特にトップスターの退団公演では私設ながら、ファンが並んだ風景も公式の写真や映像に収められていた。

 

そしてそれらを撮影することも認められた。SNS投稿は名目上禁止だが、削除されているのはあまり見ない。

なお宝塚では夢白あや、礼真琴などのプライベート流出画像はすぐに削除される。消せないわけではない。

 

消せるのに消さない入り出写真は、ファンアートと同じように建前的な禁止だ。

「私設FCの宣伝」になっていたため、基本的に残されたのだと思われる。しかしコロナ禍より大々的なファンの入出待ちは激減し、ただのプライベート風景になっているようだ。

そのせいかOGがSNSで、入り出の撮影について苦言を発信した。

 

だからといって消えている印象はないが、私設FCの営業妨害にもなり得る発信である。

そこで2025年4月~宝塚友の会リニューアルと合わせて考えると、とうとう脱私設FCの予感がする。

 

現行の友の会は、宝塚全体のファン向けだ。全組の応募や購入を長く行うことで、ランクが上がっていく。個人への推し活的買い方は、ほぼ反映されなかった。

しかし応募がカウントされず、青天井のグッズ含めた購入量がランクになるようだ。それは私設FCのお株を奪うことになる。

 

また公式リセールサービスの導入により、チケットが取りやすくなる期待がある。一方で取りやすくなるということは、人気の格差が見えやすくなることでもある。

そうなると会にチケット目当てで貢献する必要もないし、表面化した格差を私設運営で埋めるのも困難になる。

 

これまでは公式ながら、非公式な私設FCの邪魔はしないのが友の会であった。

しかし「宝塚歌劇を新しい時代に相応しい形へと発展させるべく、全力で改革に取り組んでまいります。」の言葉通りなのか、危うさの象徴である私設FCを潰しにかかっている。

 

もちろんリスク管理という面で、メリットの方が大きい。しかし当然デメリットも目立つ。

それは「個人の集客力が見えにくくなる」ことだ。

叩き上げ的に生まれるスターがいなくなり、今以上に企業など大スポンサー付き偏重になりそうである。

組替えなどの調整も判断しにくくなる。

 

表立って言われるのは役や役職だが、外部に通用する実績は「個人で何枚チケットを捌いたか」。

退団して半分以下に減っても舞台役者としては多い方だからこそ、元タカラジェンヌは舞台に立ちやすかった。しかし今や、アイドル出身女優戦国時代でもある。

個人の取次枚数が減ることで、OGのアピールポイントが無くなり退団後を厳しくさせる可能性がある。

 

スターに直接入るはずの収入も、劇団に集中してしまいそうだ。個人の力が弱まることで、劇団との力関係が悪化する可能性もある。

極論、宝塚の私設FCは業務委託先や子会社のようなものだ。統合して宝塚歌劇団一体でやっていく方針になるのは、一般企業でもよくあること。だからこそ、起こりそうなトラブルも想像つくだろう。

 

システムを整えるだけでなく、事細かに配慮が求められている。

音楽学校の絆が弱い 永久輝せあ新生花組が大苦戦

花組公演『エンジェリックライ』『Jubilee』のチケットが余りまくっている。

神戸新聞では長年宝塚を取材する演劇評論家が「これほど取りやすい状況は珍しい」とまで話した。

 

宙組娘役の転落死事件から1年で出た記事なので、大々的に「売れない公演」とされたのはタイミングか悪かった。しかしイメージキャラクターの満を持しての宝塚大劇場御披露目。三井住友VISAカードシアターとして冠公演にまでしたので、関係者もかなり多く招待しているだろう。

そこまでして売れてないという、大コケっぷりだ。

 

同記事は人数問題も取り上げた。

「5組の所属俳優の数は現在、星75人▽花72人▽雪69人▽月68人▽宙60人で、不均衡な状態が続く。俳優の死後、宙組からは6人が退団。トップスター芹香斗亜(せりかとあ)さんと、あと1人の退団が決まっている。」

手厚いスポンサーだけでなく、人数も2番目に多い花組でこの売れなさは言い訳出来ない。

 

花組トップコンビは、若手時代からゴリゴリに推された同士である。2番手時代が短く薄かった点を除けば、出来る売出しはほぼやった。

つまりこれで売れないとなると、宝塚歌劇団の戦略でスターを生むのは厳しい。プロデュース力が失われているということだ。

 

しかし今の花組で唯一弱い売り出しがある。それが同期~予科本科のスターを集める、宝塚音楽学校の絆だ。

 

日本中から批判を浴び、殺伐としたビジネスの現実が垣間見える宝塚歌劇団

今やビジネスが始まる前の、同期~予科本科の関係性は最後の砦である。

宝塚の提供する夢では、唯一信頼出来る本物の絆。

 

逆にいえばそれ以外は全て揃っているのに、その1点が欠けているとここまで苦戦するのか。

今や宝塚の売りは歌でもダンスでもない。同期~予科本科の関係性ということだ。

 

・即退団の97期

まずは新トップスター永久輝せあの同期である、綺城ひか理の即退団。明らかに柚香光と水美舞斗、礼真琴と瀬央ゆりあのようにする狙いが見えていたのにだ。残ってくれないのは時代もあるだろうが、下準備も足りない。

永久輝せあが移動後、ずっと同期売りしていれば違っただろう。しかし綺城ひか理は入れ違いで星組にいったため、舞台上での期待には繋がらなかった。

人事によって友情にヒビが入ったようにも思え、お披露目かつ退団公演ながら観る気が失せる。

 

・飛び降り事件の加害者疑惑105期

トップ娘役に就任した星空美咲は、宝塚音楽学校時代に飛び降り自殺未遂があった頃に本科生だった。

同期や予科本科で絡みを見たいスターがあまりいないので、いまいちテンションが上がらないのも大きい。

しかしもし出てきたとしても「もうひとつの飛び降り事件」が有耶無耶なままでは不信感が募る。

 

・すっかり抜けてしまった100期

聖乃あすかの元にはかつて星風まどか、華優希、音くり寿と同期のヒロインが集中していた。同期がトップ娘役という最も美味しい売り出し時代も長く、ここからは自力でというのも分かる。

しかし2番手、出来ればトップ就任確定までは同期か予科本科のトップ娘役であって欲しかった。

 

人気の95期も

礼真琴→1作前(直前)

柚香光→2作前

朝美絢→4作前

同期~予科本科がトップ娘役時代に2番手として、トップスターの基盤を固めている。

また明日海りおは準トップスター就任直前、柚希礼音もトップスター就任直前まで予科本科のトップ娘役であった。

 

月城かなとは5作前だが、トップになった月組で同期がトップ娘役の時代があった。

一方永久輝せあが予科本科のトップ娘役だったのは、雪組時代の大劇場8作前まで。不振の原因と思われる以上、同じ轍を踏むのは避けたい。

 

・扱いにくい103期前後

『儚き星の照らす海の果てに』でバウ主演が決まったのは103期の希波らいと。

しかし103期は故人の期であり、予科本科の102期は遺族の期。

 

102期と103期一丸となってストライキでも起こしていたら、まさに革命の期として美談にも出来たが。

実際は自殺直後に102期の舞空瞳と天飛華音が主演公演を強行、舞空瞳は事件を茶化す言動が度々ある。

 

舞空瞳は倫理的にも最悪だが、音校の絆頼りになる今後の商業的にも大失敗であった。

現実の「仲間の死」を越える夢を見せるには厳しく、103期前後での同期~予科本科売りを諦めるしかない。

 

 

こうなると一刻も早く同期~予科本科売りが出来るスターを移動させて欲しいとも思うが、他組もスターを売り出す必要がある。

新生花組宝塚音楽学校の絆という伝家の宝刀抜きで、どこまでやれるのかを試す枠なのかもしれない。

礼真琴×有沙瞳作品を演出家達で取り合っていた!?

有沙瞳と読み違える『阿修羅城の瞳』の宝塚化が発表され、小柳奈穂子までが礼真琴×有沙瞳の構想を練っていたと知らしめた。

 

弁護士になるつもりがニート状態でモラトリアム期間を過ごし王女と結婚する「小室圭さん眞子さん」を描き、皇室を風刺した『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-』は既にやっている。

コロナ真っ只中で中止が多く、第1~2弾の円盤で売上を補填するためだったのだろう。

とはいえ、急ごしらえではあった。

 

小池修一郎の次くらいには原作に強い小柳奈穂子が時事ネタ、つまり礼真琴作品の構想が無いとは意外だったが

単に「有沙瞳が相手役で考えていた」ということか。

 

阿修羅城の瞳』は運良くやもめ状態で出来るので、潤色の得意な小柳奈穂子の本領発揮となる。

 

結局礼真琴×有沙瞳作品を実現出来たのは、谷貴矢『Le Rouge et le Noir赤と黒~』であった。『RRR×TAKA"R"AZUKA〜√Bheem〜』を抱え梅田芸術劇場シアター・ドラマシティに対応する、若手の自由さと柔軟さが功を奏した印象である。

 

一方で、無理矢理そのままやった作品も多い。

公演中の『記憶にございません!』-トップ・シークレット-も礼真琴×有沙瞳想定感がある。

しかも原作を考えればやもめ体制にぴったりなテーマと群像劇。三谷幸喜新作映画「スオミの話をしよう」の公開がなければ、やる時期は違ったかもしれない。

 

石田昌也としては『ロックオペラ モーツァルト』の焼き直しな面はあるだろう。とはいえコンスタンツェも『ドン・ジュアン』のエルヴィラが報われる姿のようである。

世の中的に「いかにも有沙瞳」の役だ。

 

最も礼真琴×有沙瞳的だったのは『阿弖流為 -ATERUI-』の大野拓史がやった『柳生忍法帖』。

有沙瞳がトップ娘役前提で作りすぎて、何をやらせるか明らかに困っていた。

 

それでも文化庁芸術祭賞に導き、今に繋げた大野拓史。カレンダー通り退団公演だとして、2本立てなのに外されたのは意外だ。

レビュー『エスペラント!』も2025大阪・関西万博を意識している感があるため、退団公演にしては商業的過ぎる気もする。

 

そもそも礼真琴も出演があるだろう舞空瞳サヨナラショー、退団記者会見、タカラヅカ・スカイ・ステージの公開収録トーク&ライブ……星組宝塚大劇場公演にこんなにも負担が追加されてるとしたら、過重労働の見直しとはなんだったのだろう。

 

礼真琴×有沙瞳でこんなに構想が出ているのは、演出家とスターにちゃんと人間関係があるからだ。

人としての繋がりこそが、宝塚歌劇団であって欲しいものである。

礼真琴×有沙瞳想定作品が「記憶にございません!」?

有沙瞳も大劇場ヒロイン格をやる予定だったと、星組トップ娘役を設けない「礼真琴やもめ期」で表面された。

今の池田泉州銀行イメージガールは既に宙組トップ娘役の春乃さくらなので、池銀特権が行使されることはしばらくない。

むしろ有沙瞳が約2年後の大劇場ヒロイン格を待たず退団したことで、スポンサー側も特権の在り方を考え直すかもしれない。

 

また芹香斗亜のプレ退団かつ桜木みなとの今後を占う宙組公演全国ツアー『大海賊』『Heat on Beat! -Evolution-』の売れ行きがなかなか厳しい。

それがまた礼真琴宙組スライドの必要性を知らしめている。『Tiara Azul -Destino-』は舞空瞳だけでなく、礼真琴も星組を離れそうな雰囲気だ。

 

とはいえ、礼真琴×有沙瞳の想定で企画された作品はあっただろう。星組に限らずイワタニ(暁千星)とヒガシマル(詩ちづる)がいると、名の知れた原作が用意される。

じゃあどんなのが礼真琴×有沙瞳だったかというと、それこそが『記憶にございません!』に思えてきた。

 

まず日本。ヒロイン格である有沙瞳は着物だ。

やはり礼真琴×有沙瞳といえば『阿弖流為 –ATERUI–』、そして有沙瞳は日本物の雪組出身である。

ことみほの恋愛描写はないものの、コンビ性が発揮された『ANOTHER WORLD』では、日本物にしてはポップな着物であった。

「記憶にございません!」原作ポスターはシックで重厚なのに、宝塚版が何故か明るい着物でコントのようなポスターなのも頷ける。

 

何より原作の内容と群像劇である点。

宙組公演 『神々の土地』のように、有沙瞳がトップ娘役でない以上は出番を分散する必要がある。手っ取り早く分散するなら群像劇だ。

舞台が本場の三谷幸喜が、あえて映像で作った作品をわざわざ舞台化する。無味乾燥さは拭えないが

「日本で群像劇と言えば三谷幸喜」ではある。

 

あの映画の核は「全部嘘?」と思えるラスト。

家族にも仲間にも本心は見せない。

誰も主人公の本質には触れられない。

総理大臣という孤高の人間。

それが無いとただのコントなので「やもめ公演」にはぴったりなのだ。

 

以上のことから星組で「記憶にございません!」と企画、打診されたのは納得してきた。

タイミング的には不謹慎過ぎる内容だ。

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しかし三谷幸喜新作映画「スオミの話をしよう」の公開時期なので、宣伝に使われているのだろう。

「記憶にございません!」以来5年ぶりに手がけた映画監督・脚本作品としている以上、他作品に変更は駄目。

せめて喪が明けてからに延期も駄目。

 

宝塚歌劇団側に決定権は無かったかもしれない。

芹香斗亜の退団で宙組崩壊の危険性は高まる

芹香斗亜が誹謗中傷の時効前に退団することが分かった。

ヘアアイロン事件の故人と母親のLINEは、遺族弁護士が出す前に週刊誌に掲載されている。つまり一連のパワハラをリークしたのは、102期の妹含めた遺族側だ。

 

週刊誌に上級生への誹謗中傷を掲載させたのは隠しつつ、それを責められたことはパワハラとしたがった遺族。

その結果合意書では会議室に呼び出し、宙組生全員の集まりをひらいたら「過呼吸になったのでパワハラ」という意味不明な文になっていた。

 

芹香斗亜がしたとされるパワハラは、下級生というより「真風涼帆や天彩峰里を誹謗中傷した加害者」を責めたものといえる。

加害を隠して被害ばかり主張した102期含め遺族には、芹香斗亜も誹謗中傷されたといえるだろう。

 

死を悼む気持ちが感じられなかったとは思う。しかし宙組生に限ったことではない。

実際に遺族の同期で故人と予科本科ながら、自殺を揶揄した舞空瞳はスルーされた。

遺族である102期が嫌っている、不仲な相手だけ責めるのではただの私怨だ。

 

週刊誌と戦うのは難しくても、リーク元が明確であり一方的なコメントを出している遺族は訴えやすい。真風涼帆も芹香斗亜もこのまま風化を待つよりは、ちゃんと戦った方が人気も知名度も増す時代になってきている。

 

以上のことから穏便に済ませたい宝塚歌劇団側が、時効までは囲い込むかと思っていた。

 

美学はともかく、流れからしても3作退団が予定通りというのは無理がある。

宙組がトップスター芹香斗亜に求めたのは、桜木みなとを初の生え抜きトップスターにする土台作りもあったはずだ。中止が無かったとしても、発表されていたラインナップでは厳しい。

 

正直、選択肢が少ないため桜木みなとが次期最有力ではある。しかし他組のスター下級生を総動員でもしない限り、売れ行きはワースト。動員バランスが悪くなれば「何故わざわざ宙組を残した」と叩かれる。

当然売上が悪ければ、組の雰囲気も悪くなる。再びトラブルがあれば、今度こそ宙組は解散だろう。自暴自棄でもない限り、いくらなんでも即トップ就任は避けると思いたい。

 

次によく見るのは既に花組で十分2番手経験のある、専科の水美舞斗がくる説だ。

トップスターとしては問題ない。しかし同期の桜木みなとの上に立つとなると、なかなか複雑に思う。

やはりなんとなく組も年功序列のため、花組出身者が宙組含め他組生より優先されがちではある。しかし宙組御曹司として育った桜木みなとの上に、花組で同期を支えてきた水美舞斗がくるとなると荒れる。

正直「宙組は売れる組」でないと、存続の危機は続く。現状を逆転出来るほどの人気かというと、不安が大きい。

 

桜木みなとより「確実に上」といえる宙組トップスター候補となると単に上級生か、現役最長トップスターで日本武道館公演も決定している礼真琴しかいない。

 

星組は『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~』新人公演でのパワハラが週刊誌に掲載されたが、中止も起こらず公演は進んでいる。

そもそもタカラジェンヌ週刊文春に狙われ出したのは礼真琴が始まりだ。『1789 -バスティーユの恋人たち-』の大量中止についての記事には、週刊誌に対抗までした。

それでもここまでやってこれたのだから、週刊誌からの攻撃に最も強いスターといえるだろう。その意味でも最適に思う。

 

また礼真琴の元であれば、95期ブームに乗った同期売りも出来て一石二鳥である。チケットも捌けるようになり、宙組生の精神状態も安定すると思われる。

礼真琴についていたファンが、桜木みなとの熱心なファンになる可能性は低い。しかし基本的に好みの男役ではあるはずだ。

宙組を避けている層が、無視できない組になる効果だけでも十分欲しい。

 

宝塚歌劇110周年記念行事が終わったら舞空瞳が退団、礼真琴の日本武道館コンサートを餞に、有沙瞳をヒロイン格として実質的な添い遂げ退団、

という流れは星組の想定としてあっただろう。

 

しかし星組のストーリーを待たずに有沙瞳が退団した。礼真琴も用意された餞ルート通りではなく、宙組の救世主期を追加する道だってあるはずだ。

礼真琴の武道館公演に期待!だけでいいのにチラつく宙組感

最後は有沙瞳と組むはずだったと、星組トップ娘役の不在発表で表明された礼真琴。

暁千星のお披露目にとっておいて欲しかった『1789 -バスティーユの恋人たち-』、トップスターで海外ミュージカルなのにシアター・ドラマシティ公演の『Le Rouge et le Noir赤と黒~』、土壇場で用意した餞なら全て納得だ。

池田泉州銀行は実質大劇場ヒロインを確約しても、残ってくれないこともあると知った。だからこそ既に宙組トップ娘役である、春乃さくらを起用したのか。

 

礼真琴専科説に一縷の望みはあるが、プレ退団ほぼ確の日本武道館コンサートも発表された。

いわゆるやもめ退団で、真風涼帆時代前後の宙組が再現されるのだろう。

 

轟悠ポジションに収まって欲しいとは思う。

しかし前回の 『BIG FISH』、そして公演中の『記憶にございません!』-トップ・シークレット-はともかく『Tiara Azul -Destino-』が舞空瞳だけでなく礼真琴の退団っぽさもある。

 

そもそも“ANTHEM”-応援歌-にするぐらいだから、少なくとも星組からは次で離れるだろう。

もう1作あるかと思ったが、真風涼帆と潤花の時もそう思った。コロナの約半年中止がここに来て響いているのか。

 

ここのところ小池修一郎が、重宝してきた男役の退団公演を務めている。

礼真琴は真風涼帆と同じく、トップ期間に新人公演時代のセルフ再演と再演作品のみ。新作で有終の美を飾る可能性は高い。

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の通り、知名度のある原作を用意するだろう。オリジナル要素は抑えて、そのまま持ってくるかもしれない。

 

『神々の土地』化する予定だった礼真琴退団公演が、有沙瞳の不在で宙組と重なり過ぎずに済むとは思う。

しかし真風涼帆と潤花が前任であるIwataniとヒガシマル醤油のイメージキャラクター、暁千星と詩ちづるも揃っている。元々かなり宙組っぽいのだ。

 

星組では有沙瞳だけでなく、天華えまも既に退団している。花組ではトップスター永久輝せあの同期、綺城ひか理の退団も発表された。

水美舞斗や瀬央ゆりあ、伶美うららもそうだが、もう同期を支えてくれる主演級のスターを確保し続けるのは難しいだろう。下級生ならなおさらか。

 

人材確保は日本中の課題であり、宝塚でも問題となるのは必然ではある。

解決とまではいわないが、大切なのは「不安の解消」だろう。

 

残念ながら「宙組っぽい」というのは、それだけで不安になるのだ。

宙組のやり方を辿らない、配慮が今は必要である。

雪組ベルばらジャンヌは宙組事件の踏み絵

火傷、それも焼きごてを押し付けられたあとを見せつけるジャンヌ……ヘアアイロン事件の証拠として、火傷写真をマスコミに流した行為の宝塚化だ。

 

雪組公演『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-は2024年版として新しい試みはあるものの、ジャンヌ自体は昔も出てきたらしい。

しかし数十年出さなかった役を「今」あの形で出した。

今回のジャンヌに、故人と遺族の102期が投影されているのは無視できない。

 

ジャンヌ役の音彩唯は105期生なので、さすがに102期103期がやることにはならなかった。しかしもっと上級生にやらせることも出来たはずなのに、わざわざ下級生にやらせたといえる。

「上級生の誹謗中傷を流布した下級生」という構図は、過激な風刺だ。

 

今回の大劇場公演集合日に、遺族である102期の妹が退団した。つまり元々出演予定だった公演で、自分や家族の行いを痛烈に批判されたことになる。

共に過ごしてきた生え抜きトップスター彩風咲奈、故人の同期で遺族の予科本科の上に宙組雪組で過ごしてきた夢白あやを中心とした、今の雪組でやることか?

 

星組の『記憶にございません!』も酷いが

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102期の舞空瞳と天飛華音は故人と予科本科かつ遺族の同期であるのに、自殺直後の主演公演を強行した。

舞空瞳はパワハラ合意書を締結した直後、退団記者会見で事件を軽んじた言葉を連発。ミュージック・サロンからも103期を排除した。

星組102期は最初から非情だったのだ。

 

一方雪組は『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』-Boiled Doyle on the Toil Trail-『FROZEN HOLIDAY』を何度も中止させるほど、心を痛めてきたと思われている。この仕打ちはさすがにキツい。

 

事前発表は無かったのに星組公演『夜明けの光芒』では瑠璃花夏、月組公演『琥珀色の雨にぬれて』『Grande TAKARAZUKA 110!』では白河りりの103期が、続けて主要キャストとして線上に出された。

 

これも102期の舞空瞳と天飛華音のように、隠蔽や矮小化に手を貸せば手厚く扱われるということなのか。

 

下級生は事件を軽んじ、踏みつけるほど安泰に。

同期や予科本科という生徒自身の絆より、組織を優先する都合の「いいタカラジェンヌ」であれ。

 

宙組事件は宝塚の踏み絵にされた。

宝塚で推し活が嫌われる理由

痛バ(勝手に作ったスター写真グッズを大量に着けた鞄)の宝塚ファンが炎上したらしい。

これには色々な要素が絡んでいるように思う。ネットのネタ元まで探る気にならなかったので苦言を読んだ程度だが、似たようなことは以前からあった。

 

①オリジナルグッズを勝手に作る行為

正当性のある主張として、まずここがある。スターの写真を勝手に使ったグッズ制作は肖像権の侵害という点。

 

タカラジェンヌは基本的に、私設FCとして後援会がある。この立場が微妙なのだが「劇団という公式ではないがスターという公式」である。

つまり「グッズが無いから作った」は通用しない。公式に金を落とす方法はいくらでもある。

 

また学年や立場によって暗黙のルールがあり、立場を越えたグッズやクオリティーは問題になる。

宝塚ファンにとって、いわゆる「推し活」は私設FCで行うもの。会員でない、自己流推し活は批判される。

さらに私設FCでどんなものが作られているか、何が許可されているかはだいたい他言無用である。表立って出来る推し活はほぼ無いため、やってる時点でアウトなのだ。

 

ただお手紙文化でもあるので、ポストカードをデコって送るとか、写真を使って作るファンは昔から多い。

自分で使うのは駄目だけど、スターに送るのは有りというのは微妙な矛盾ではある。

 

②スターの認知を狙う行為

作ったグッズを客席でアピールする場合があるらしく、そこも批判の的となった。客席降りも復活し「見て貰おうとするファンが目に余る」という意見も目立つ。

分からなくもないが、コロナ前はもっと積極的だったように思う。客席から舞台へ物を渡すとか、声かけもザラだった。

 

コロナでライブ配信が完備され、OGもインスタライブなど多く行うようになった。SNSを通して応援するようなやり方も一般化し、そのノリが現実にも出てきた面はある。

しかしある意味、舞台と客席の距離は開いた。古参の方が客席参加型の意識は強い印象だ。

 

自己表現の場所にしてる違和感は分かるが、公演のイメージに合った服装や組カラーのようなオシャレは良い。

ポスターまで徹底的にモノクロに赤の星組公演 『Le Rouge et le Noir赤と黒~』では、観客の多くが赤と黒の服を着ていた。むしろ他の色を着ている方が目立っていたのだ。線引きが難しい。

逆に認知は一切ないだろうが、座席で香水をまきだしたのがいた時は本当にキツかった。

結局マナーの問題に思う。

 

また前述した私設FCでは、認知を狙った行為は普通に行われてしまう。グレーゾーンは全て、会の裁量次第なのが現状である。

しかし私設FCでの脱税も騒ぎになった。当時は私設で切り離せたが、次は無理だろう。

コロナでの中止やチケットが用意できない場合に、お花代(サポート代)が返金されないのも週刊誌で叩かれている。名目はともかく実質手数料の形式で取っていて、大きい金額も絡むので詐偽扱いされても仕方ない面はある。

 

パワハラも議論し尽くされ、一応解決となった。今最も掘り下げられたくない、宝塚歌劇団のアキレス腱は私設FCだ。

そんな私設FCを盾に、新規や若いファンを批判するのはなかなか危ない橋を渡っている。

 

③景観を損ねる

結局本音はここかな、という印象だ。

要は「宝塚らしくない」問題である。

 

舞台を観に来ているファンにとって、客が目立つというのはそれだけで邪魔だ。

その目立ち方が、他の界隈でのやり方となると宝塚ファンの逆鱗に触れる。

 

今や宝塚歌劇団はバッシングの対象でもあるが、宝塚ファンは宝塚のファンであることに誇りを持っていることが多い。

演劇やミュージカル界ならともかく、アイドルやアニメ等のファンが掛け持ちしてるだけでも嫌そうなのだ。

同じスタンスで応援(推し活)するのを、毛嫌いするファンは多い。

 

郷に入っては郷に従えなのは分かるものの、新参と古参の相容れなさは難しい。

劇団の方針と私設FCの方針、それぞれの事情だけでなく本音と建前も微妙に違うのだ。

宝塚が新しくなろうとしている以上、ファンも温故知新であるべきか。