宝塚歌劇団生徒の転落死により、大劇場公演やタカラヅカスペシャルの中止が決まった。また週刊文春を中心に記事が上がり続けている。
しかし別の組や劇場での公演はすぐに行われた。そのことに疑問の声も大きい。
個人的には急逝した生徒の103期と、その家族かつ予科本科の関係である102期で、ストライキぐらい起こるかと思っていた。
ハリウッドや百貨店を見ても、生徒が出来る手段で影響力があるとしたらスト決行だ。
そして宝塚のシステム上、最もストライキ向きなのは今なら102期103期なのである。
宝塚歌劇団は上下関係に厳しい反面、学年が上がるほど人数は減っていく。
つまり上級生は発言力があってもマイノリティで、マジョリティは下級生だ。
しかしコロナ初期の頃からも分かるように、下級生過ぎるとストライキしても人数を減らされて終わる。上級生過ぎても代役で済んでしまう。
役付きの良い生徒が多く人数もそれなりにいる、102期103期はストライキに最適な学年なのである。
宙組と雪組の長期中止が決まっている以上、花組月組星組の102期103期(同期と予科本科)がストライキへ動く以外は、手段が無いと言ってもいい。
なぜならこの1ヶ月を見ていると、ファンの不買運動は望めないのだ。
宙組と週刊誌に取り上げられている娘役移動後の月組は、影響があるだろう。しかしせいぜい観劇が減り、フェードアウトしていく程度かと思う。
また社会的な正義や倫理より、贔屓を取るのが宝塚ファンである。あっさりとそれはそれで割り切ってしまう可能性も高い。
不条理で汚い現実を忘れるための作品、現実的な内容を排除した公式情報……そんな環境にハマってしまったファンにとって、自死は重すぎる。
真実や今後の対策といった、現実に向き合ってなどくれない。
綺麗で都合の良い夢で纏め、忘れさせてくれるのを待ってしまうのだ。
また宝塚にハマりたて、今心の支えにしている、贔屓がいるファン。そういった時期は過ぎているファンで温度差がある。
コロナの突然の中止、その後も続く中止の嵐。遠征中心のファンはいい加減に疲れていただろう。コロナも落ち着き、他の趣味の方が楽しくなっている場合も多い。
ファンが冷めてきた時期であろうタイミングで、更に冷静にさせる「現実」が向かってきたのが今回かと思う。
文春を攻撃したい場合も、加害者とされている生徒を攻撃したい場合も、一緒に攻撃する仲間を求めているようではある。
しかしよく考えてしまうと観点が多すぎるため「宝塚ファン一体となって」は難しい。
つまり「劇団が納得のいく説明をするまで劇場へいかない」という社会運動は、宝塚が現実である現役のタカラジェンヌにしか出来ない。
しかも説得力が出せるのは、亡くなった生徒と家族の同期かつ予科本科の102期103期だけなのである。
一部週刊誌では署名運動の話もあったが、ただでさえ秘められた世界が売りの、ブラックボックスが多すぎる劇団だ。ストライキのような外から見える行為でないと、意味が無い。
イジメやパワハラの真偽は特に、当事者からしか見えないことも多い。人伝に聞いて判定するようなことではない。私刑は論外である。
だからこそ当事者であるタカラジェンヌが動くことでしか、本質的な状況は変わらない。
もし生徒側が動いたら、せめて見守りたいとは思う。