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合意書は102期のデジタルタトゥー

25歳娘役の転落死を巡り、宝塚歌劇団側と遺族側が締結した合意書が公開された。

遺族弁護士は「今後の宝塚の重要な礎となる」とし「合意書に反したら新たな紛争になる」と釘を刺した。

しかし合意書の内容に沿った稽古や舞台作りとなると、様々な歪みが出るのは明らかである。

 

(1)ヘアアイロンでの火傷に対して気遣いも謝罪もあった。「真に」ではないからとなると弁護士が発言していた「被災者がパワハラと思ったらパワハラ」が通ったのだ。

 

(4)会議室に呼ばれた件では他の項目にはある「被災者に落ち度がない」という文が無い。「週刊誌に上級生への誹謗中傷を掲載させた」と暗に認めている。

つまり加害者であっても、過呼吸になれば被災者となる。

 

(5)組替えという人事の要望が通らないこともパワハラとした。

遺族側は既に「何度も」とコメントしていた。(なお責任感ゆえに退団しなかったと103期以下に罪悪感を植え付け、でも組替え希望は出していて、聞いてくれないのはパワハラという矛盾ではある)

既に断っていても求められる度に考慮し説明することを課せば、プロデューサーの過重労働を引き起こす。(宙組生全員の集まりをひらいたことがパワハラなのに、人目につかないよう会議室を用意するのもパワハラというのも無茶苦茶だ)

 

(2)の髪飾りは被災者自身が使う物へのアドバイスであり、(13)下級生の失敗は上級生の責任という意識があるからだ。

これをパワハラとすると、上級生は下級生の面倒を見ないことになる。

しかしトップスターや組長などの幹部、演出家は責任から逃れられない。商業としての舞台に仕上げなければならないのだ。

下級生を叱らない代わりに、役や出演そのものから降ろす権限が必要になる。

 

既に人気振付師が宝塚から決別すると公表したが、取引先との関係性は大きく変化するだろう。

宙組含めた中止や解決金などの出費も、この先タカラジェンヌ達の収入や舞台の予算に響く。

礼真琴の星組公演1789突発的中止でスケジュールを見直す流れはあったので、遺族が止めさせたといえるのは既に販売済だった分と、110周年記念行事くらいだろう。

しかし現実的に「宝塚が悪くなったと思う点」への恨み辛みの行き先は、102期である妹だ。

 

金銭や罰則ではなく、心情の話である。コメントしか出さなかった親と違い、顔も名前も経歴も晒しているのは大きい。一生、宝塚の変化に責任を持つことになる。

合意書が生んだ歪みによる新たな被害者、それこそ死者が出れば全て102期のせいになるのだ。

 

また102期は宝塚を離れても、合意書に反した行動を取ったらパワハラと言われるだろう。

ハラスメントの概念は変化が激しい。来年でさえどうなっているか分からないが、合意書として内容が公開され解決金を受け取った事実は消えない。

102期が生涯背負う、デジタルタトゥーとなる。

 

宙組公演『FINAL FANTASY XVI』の見合わせが発表される前に、週刊誌は版権元の期限に間に合わなかったと報じていた。合意内容を公開させる遺族弁護士に対し、非公開にしたい劇団とのこと。

この点に関しては、劇団の方が「真に」102期妹を気遣っていたのに

気付かせてくれる人間はいなかったのか。