そろそろ大作だろうと思われていた永久輝せあと星空美咲の花組トップコンビ3作目が、若手演出家である熊倉飛鳥の宝塚大劇場デビュー作『蒼月抄』と発表された。
既にファンの支持は得ている作家ではあるが、集客の難しい日本物。
『悪魔城ドラキュラ』『愛, Love Revue!』はタイアップながらかなり余っていた。星組から組替えの極美慎が入るとはいえ、また売れなそうだ。
気になるのはデビュー作なのに-平家終焉の契り-という副題である。永久輝せあか星空美咲の退団公演なら分からなくもないが。
作品紹介からは劇団への憂いを感じる。
おそらく「没落」を予言した星空美咲が、永久輝せあに「すべてを失ったとき、あなたの本当の姿を見せてください」と契りを交わす。
混乱を極め歴代が残した“力”にすがるが、威光を失っていく。その中で生き残りをかけて奔走するのだろう。
歴代の影を背負い、誓いと喪失の果てに辿り着いた姿。
今の宝塚歌劇団そのものが描かれるようだ。
宝塚ファン、特に花組、中でも永久輝せあのファンが、最も受け入れたくない現状を突き付けそうである。
ショー『EL DESEO』を担当するのは指田珠子。宝塚が日本中からバッシングされ、遺族と揉めに揉めていた頃に『VIOLETOPIA』で大劇場デビューした。
ある意味夢を壊す風刺作として、批判的な視点で劇団や舞台運営そのものの虚構性に切り込んだ。
も考えると、若手の演出家は宝塚の問題に向き合っているように感じる。
それ自体は素晴らしいことであり、作品での発信に寛容なのも好印象。
しかし宝塚のファンは「お花畑でいたい」のが見てとれる。
ベテラン勢は
のように、故人や遺族を揶揄し、事件を軽く扱っているのが目立った。
それなのに大きな炎上に繋がらなかったのだ。
ニュースに対しては色々言っても、それなりの金額を払って観るならただ楽しませてほしいのが本音だろう。窮状の訴えは見ないふりをするか、実際に見ないのが今も残っている「宝塚ファン」の傾向だ。
不入りに拍車をかけそうである。