パーソナルカレンダーの大量買取を条件に、チケット譲渡をする掲示をしたファンが炎上した。
批判は主にそのファンに対してだが、そんな買わせ方をする私設FCの問題も浮上している。
他にも宝塚ファンから会への不平不満は増えている。素人運営なため不備が多いのに、扱う金額が分不相応に大きいのだ。
今のところ大事になったのは脱税ぐらいだが、トラブルは多々聞く。
・チケット取次の可否(お断り)や席の理由が不透明
というのは公式的なFCでも多い。現行の宝塚友の会にあるランク制度だってかなり疑わしい。
しかし
・取次不可でも手数料的に取るお花代(サポート代)は返金されない
・チケット代返金時期が不明瞭で遅い
は企業なら許されない。
昔は完売が当たり前でなかったため、お花代(サポート代)だけ取られるという事態はほぼ無かったのだろう。
しかしチケ難公演が増えた上に、コロナや転落死事件で中止が連発された。
そういった場合の対応の悪さが、転落死事件をきっかけに週刊誌等で曝された。
それらを読んで「おかしいんだな」と目を醒ましたファンも多い。
さらに会に深く関わるファンは、奉仕活動の多さにも辟易しているようだ。
宝塚歌劇団の改革に向けた取組が進むことで、ファン活動にも安心感や透明性を求める声が高まっている。
そんな「私設FC」の象徴とされるのが、入り出待ちである。
ファンサービスを兼ねた、スターアピール。人数が少ないと恥なので、なんとかかき集める場合も多い。
特にトップスターの退団公演では私設ながら、ファンが並んだ風景も公式の写真や映像に収められていた。
そしてそれらを撮影することも認められた。SNS投稿は名目上禁止だが、削除されているのはあまり見ない。
なお宝塚では夢白あや、礼真琴などのプライベート流出画像はすぐに削除される。消せないわけではない。
消せるのに消さない入り出写真は、ファンアートと同じように建前的な禁止だ。
「私設FCの宣伝」になっていたため、基本的に残されたのだと思われる。しかしコロナ禍より大々的なファンの入出待ちは激減し、ただのプライベート風景になっているようだ。
そのせいかOGがSNSで、入り出の撮影について苦言を発信した。
だからといって消えている印象はないが、私設FCの営業妨害にもなり得る発信である。
そこで2025年4月~宝塚友の会リニューアルと合わせて考えると、とうとう脱私設FCの予感がする。
現行の友の会は、宝塚全体のファン向けだ。全組の応募や購入を長く行うことで、ランクが上がっていく。個人への推し活的買い方は、ほぼ反映されなかった。
しかし応募がカウントされず、青天井のグッズ含めた購入量がランクになるようだ。それは私設FCのお株を奪うことになる。
また公式リセールサービスの導入により、チケットが取りやすくなる期待がある。一方で取りやすくなるということは、人気の格差が見えやすくなることでもある。
そうなると会にチケット目当てで貢献する必要もないし、表面化した格差を私設運営で埋めるのも困難になる。
これまでは公式ながら、非公式な私設FCの邪魔はしないのが友の会であった。
しかし「宝塚歌劇を新しい時代に相応しい形へと発展させるべく、全力で改革に取り組んでまいります。」の言葉通りなのか、危うさの象徴である私設FCを潰しにかかっている。
もちろんリスク管理という面で、メリットの方が大きい。しかし当然デメリットも目立つ。
それは「個人の集客力が見えにくくなる」ことだ。
叩き上げ的に生まれるスターがいなくなり、今以上に企業など大スポンサー付き偏重になりそうである。
組替えなどの調整も判断しにくくなる。
表立って言われるのは役や役職だが、外部に通用する実績は「個人で何枚チケットを捌いたか」。
退団して半分以下に減っても舞台役者としては多い方だからこそ、元タカラジェンヌは舞台に立ちやすかった。しかし今や、アイドル出身女優戦国時代でもある。
個人の取次枚数が減ることで、OGのアピールポイントが無くなり退団後を厳しくさせる可能性がある。
スターに直接入るはずの収入も、劇団に集中してしまいそうだ。個人の力が弱まることで、劇団との力関係が悪化する可能性もある。
極論、宝塚の私設FCは業務委託先や子会社のようなものだ。統合して宝塚歌劇団一体でやっていく方針になるのは、一般企業でもよくあること。だからこそ、起こりそうなトラブルも想像つくだろう。
システムを整えるだけでなく、事細かに配慮が求められている。